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Loveletters ひとり善がり

海老の天ぷら二尾

それでも、やっぱり寂しくなるときがある

そんな時、開く本は 「時雨の記」 中里恒子著 昭和52年刊

もう、何度読んだか

そう、男 行動的な壬生幸之助に ワタシは惚れていて・・・

そして、堀川多江にも会いたくなる

器のことも勉強になる


わたしは、いつの間にか、堀川多江がひとり暮らしであることを諒解した。
それからわたしは包みをほどいた。
「お使いになれたら使ってみてください、」
「・・・なんでございますか、頂きものまで、ありがとうございます、開けますわ、」
「いや、つまんないものです、」
多江は、上手に風呂敷をたたんで脇におき、箱の紐をほどいた。肘をついて、中の茶碗を取り出した。
「朝鮮でございましょうか、よくわかりません、いい仕覆ですこと、」
「それより、そっちの重箱をあけてください、」
ワタシの顔もみずに、多江は、紙袋にはいった、ビニール包みをほどいた。
「まあ、てんぷら、おいしそう、」
「ゆきつけの店で、日曜は休みなんですが、病人が食べたいと言うから作れと言ってね、
揚げたてを、東京駅で受け取って来ましたから、重箱は、てんぷら屋に返さなくちゃ、」
「病人だなんて・・・・嘘ついて、」
「そのくらいの嘘は、便利だから、」
「てんぷらとは、親身なお土産、」
「お好きでしょう、」
「どうしてわかります、」
「わかるんだな、」
・・・中略・・・
多江は、お手塩に、レモンと塩を添えて出し、自分から先に、箸をつけた。
「まあおいしいこと、海老がこりこりして、」
わたしは嬉しかったねえ、このひとのように、臆面なくばりばり食べて、唇のあぶらを懐紙で
拭いながら、つづけて二尾食べて、熱いお茶をひとくち入れてから、
やっと、わたしの居るのに気づいたように、
「おいしく頂きました、あとは、ご飯にのせて、あたため直して頂きますわ、」
そう言って、にっこりした。まるで、天ぷらなど、食べたことがないとでも言うような、
喜びようなのさ・・・
このひとは、さんざんの贅沢をした筈だ。・・・

海老の天ぷら二尾_b0142251_19494584.jpg


そうして、海老の天ぷらが食べたくなったワタシは

翌日のランチにとりあえずいつものおそばやへ

ざるそば・かけそば が 300円

海老の天ぷら二尾の天そば は 520円

安いのに 金額より絶対に美味しい

ぱぱ・まま の お二人でやっているこのお店はいつも超満員

だから、時々 冷たい天ぷらにあたってしまうこともあるけど

揚げたてだと うまいんだな これが



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by vinho | 2009-03-19 20:32 | books | Comments(0)